佐野元春 & THE COYOTE BAND 「禅BEAT 2018」ライブレポート

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佐野元春にとって広島ライブは2年振り、この会場に立つのは6年振りとなる。海辺に立つスタイリッシュな『BLUELIVE HIROSHIMA』は、県内最大規模のライブハウス。チケットは貫禄のSOLDOUTだ。

客電が落ちると同時に、割れんばかりの歓声と拍手が送られる。カウントから生まれ出すビートに乗せ、中央に立つ佐野元春が右手をあげて答える。解き放たれたソウルフルな歌声は紛れもなく本物。誰にも真似できないオリジナリティ。佐野元春が広島に帰って来た喜びに、身体と心が大きく揺れる……。

 「楽しい夜にしよう!」と告げ、次々と繰り出される珠玉のダンスナンバー。THE COYOTE BANDと共に産み出された『COYOTE』、『ZOOEY』、『BLOOD MOON』、『MANIJU』という4枚のアルバムを軸に組み立てられたセットリストは、アップテンポな楽曲を中心にセレクトされている(現在もツアーは続いているため、残念ながら曲名を上げるのは控えさせていただきます)。小松シゲル(Dr.)、深沼元昭(Gt.)、藤田顕(Gt.)、高桑圭(Ba.)、渡辺シュンスケ(Key)という素晴らしいクリエイターと共に歩んで来た13年。THE COYOTE BANDが積み上げて来た歴史が、最新型にアップデートされ揺るがないグルーヴを叩きつける。

 そんな圧倒的な演奏に乗せて、自由に泳ぐ歌声。佐野元春の研ぎ澄まされたリリックが心臓を掴む。誰もが知る名曲も、昨日生まれた新曲のように瑞々しく響き渡っていた。その、迷いなき真っ直ぐな視線を受け止める広島オーディエンスの熱気。様々な世代が生み出す歓喜のエネルギーがステージに届き、またサウンドに昇華され客席に降り注ぐという幸福の無限ループ。それは理想的なライブ空間と言えるだろう。誰もが自由に感動をステップに変え、踊り尽くした夜。1曲終わるたびに送られる大歓声に、何度も「ありがとう」と感謝の言葉を伝える。
 今年7月に襲った豪雨災害の被災者へ寄り添い、復旧に尽力を注いでる方々に送ったエールの歌声、秋に広島で受賞されたディスラプター・アウォードのエピソードなど、MCの随所に溢れる広島への言葉には、一際大きな拍手が送られた。
 「さよならの前に、もう一度言わせてください。…ありがとう」。ラストも感謝の言葉で、素晴らしいロックンロールショーは幕を下ろした。

 デビュー40周年に向け、さらなる進化を遂げていく佐野元春が、THE COYOTE BANDと築き上げるロックが、どんな虹を描くのか?これからも目が離せない。最高の夜をありがとう!!!

 終演後に、楽屋で佐野元春さんと対面させていただいた際に「客席の歓声で、自分の声が聞こえなかったよ」と嬉しそうな笑顔でお話しされてたのが印象的でした。

TEXT:キムラミチタ(広島FM ライブトライブ)