謎に包まれたデザイナーである「マルタン・マルジェラ」の名前はご存知でしょうか?多くのファッションデザイナーは、自分のショーの最後にステージに出てきて軽く挨拶をしたりします。そこで、その人のパーソナルな一面を垣間見る事が出来ますよね。しかし、このベルギー出身のマルジェラは、雑誌のインタビューにもFAXで質疑応答するなど、ミステリアスな存在として知られてきました。そんな彼が作り出すファッションは、規格外過ぎる独自のスタイル・哲学をもっています。例えば、大量生産されたモノを継ぎ合わせてリメイクしたり。モデルに一般人を使ったり。あえて服が朽ち果てていくイメージをアピールしたり。・・といったように、衣服を再構築・再定義した哲学的なブランド「マルタン・マルジェラ」。しかし、すでに当人はブランドとの関わりはありません。引退と言っていい状況です。この世にも不思議な、ある意味奇跡的なファッションブランドに携わった人達の証言を基に作られたドキュメンタリー映画があります。それが、「We Margiela マルジェラと私たち」です。主人公である本人は出てきません。関係者が語る事でブランドの成り立ちが分かり、物語の輪郭が浮かび上がります。自分の意図しない形でカリスマとなり、宗派と呼ばれるようなファンが出来る。ただし、それが終わりの始まりとなってしまいます。ファッション・ビジネスをしたかったのではなく、ファッションを突き詰めたかった。
そんな悲痛な叫びが感じられました。ファッションに興味がなくても、ドキュメンタリーとしての面白さに溢れた作品に仕上がっていますので、この機会にいかがでしょうか?「We Margiela マルジェラと私たち」は、昨日から八丁座で公開中です。
映画「We Margiela マルジェラと私たち」
2019年5月11日 11:55 AM
- KENSHI’S NAVI