今回のゲストは、広島県立美術館で学芸員として勤め24年の福田浩子(ふくだ ひろこ)さん。主に工芸作品を扱い、研究専門分野は工芸史、東西文化交渉史です。
学芸員としての役割は美術作品の知識の蓄積や研究、現地調査、展示会に向けての広告、講演会やギャラリートークの企画運営、作品収集の見極め、手続き、展示のためのキャプション作成など幅広くあります。
学生時代に東洋史学を学ばれた福田さんは、そこに出てくる歴史的交易品に表れる工芸品に深く関心を持つようになりました。またヨーロッパを旅した際、宮殿で約3世紀前の日本や中国の磁器に出会ったことがきっかけとなり学芸員の道に。就職先の広島県立美術館には伊万里の柿右衛門様式の所蔵品もあり、工芸品好きな福田さんにとっては恵まれた環境のようです。
美術館で工芸品を展示するために必要な知識を得るためには現地での調査研究が不可欠です。平成9年に研究助成を得て、初めて現地のウズベキスタン、トルクメニスタン、カザフスタン、キルギスを訪問し調査を行ったことからはじまり、その後も自費で現地調査を繰り返し所蔵作品展を中心に成果を発表されています。
また広島県内の小中学校・公民館では中央アジア民族料理講座も開講され料理が出来上がるまでの時間に現地の文化や美術作品を紹介しながら作品鑑賞に親しみを持ってもられるような工夫もされています。
「美術は老若男女、国籍や民族に関係なく誰もが自分の感性で楽しめるもの。
お子さんやお孫さんと一緒に遠慮なく美術館を訪ねてほしい。」その道のプロ、福田さんの言葉に、すぐにでも美術館を訪ねてみたくなりました。
「英国ウェールズ国立美術館所蔵 ターナーからモネへ」開催中
4月1日(土)~5月28日(日)
広島県立美術館 http://www.hpam.jp/