1900年創業の料亭「羽田別荘」。季節ごとにその趣を楽しめる庭園は美しく、日本の伝統文化が凝縮された空間は日常の喧騒を忘れさせてくれます。
今回のゲストは女将の羽田悦子さん。
昭和46年にご結婚、その2年後に先代女将に続いて仕事を継ぐことになりました。社会経験も乏しく、はじめの頃はお客様と何を話してよいかもわからず悩むことも多かったそうですが「10年頑張れば何とかなる」の思いで続けてこられました。
今日までこられたのはお客様に育てていただいたおかげと羽田さん。
どんな時でも女将として姿を見せてお客様への挨拶すること、お客様の思いを大切にいつでも電話に出られるように、新規のお客様は絶対に断らないなど、女将としてのあり方を学び今なお実践されています。
子育ての時期も3人の子ども達の世話をしながら仕事をこなし、女将であることの責任とお客様への思いが薄れることはありませんでした。
女性の社会進出が今ほど取り立たされていない時代ではあったものの、実家のご両親が商店を経営する姿を見て育った羽田さんにとっては、仕事と家庭の両立はそれほど特別なことではなかったそうです。
お話を伺っていると苦労を感じる間もなく、ただ一心に歩んできた女将の道であるように感じられました。
品のある着物姿に、温かい笑顔、背筋の伸びたその佇まいからは仕事を通じて得られた女性としての優しさと強さを感じました。
2020年には創業120周年を迎える羽田別荘。お客様に喜んでいただける催しをと羽田さんの思いは膨らんでいます。
羽田別荘