11月20日〈広島大学平和センター・大学院人間社会科学研究科 准教授〉ファンデルドゥース瑠璃(るり)さん

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平和活動として原爆・被爆の事実を「社会科学」的な観点で分析、研究を行われています。例えば被爆者アンケートに記されている言葉、背景等から被爆者の思いを汲み取り、体系的に教材に反映させること。また平和記念資料館の来館者がサイト上で交わす情報内容の傾向から更に効果的な展示の可能性を調査するなどです。

原爆・被爆の実相についての認知は国内外において様々で、時に解釈の仕方が違ったり、誤解があったりもします。

また原爆が一過性の脅威であるような印象だけで終わらせたり、被爆者の「被爆投下直前直後」の部分だけに意識を向けるのではなく、その後被爆者がどのように生きてきたのかに目を向けることで被爆の実相に付随する人の心を理解できるのではないかと考えます。被爆体験者の情報収集、分析をすることで人の心の可視化をしていくことが被爆体験の継承にも繋がります。

誰もが一般化・歪曲することなく原爆・被爆のことを同じように伝えられること、市民が当たり前に集まり、語り、学べる場所、自分事として継承していくこと。それが瑠璃さんの目指す被爆体験の継承です。そのためには私たちもあらゆる視点でその実相を見つめる必要がありそうです。

被爆者の高齢化により被爆体験の継承が危ぶまれるなか、瑠璃さんをはじめとする研究者の皆さんの活動によって、あの日から今日までの記憶が決して失うことのない事実として生き続けることを祈りたいと思いました。

広島大学平和センターhttps://home.hiroshima-u.ac.jp/heiwa/

◆被爆者 森冨茂雄さんによる画集「消えた町、記憶をたどり」が現在発売中

広島市平和記念公園レストハウス、広島平和記念資料館にて販売